長南です。 もうわたし以外、この問題に興味を持っている方はいないようですが、 もう一度だけ続けます。 UTF 環境の man ページでマイナス/ハイフンの表示がおかしくなるのは、 有名な問題だったんですね。「groff man hyphen」を Google で調べたら、 いっぱい出てきました。 わたし流に乱暴にまとめてしまうと、こういうことのようです。 ・ '-' 文字は ascii では 0x2d である。これは、マイナスにも ハイフンにもダッシュにも使われて、非常に曖昧である。 ・ ユニコードでは、マイナス、ハイフン、ダッシュに相当すする文字が いくつもある。 ・ そのため、UTF 環境で man のソースを groff (nroff) で整形するとき、 マイナス/ハイフン/ダッシュの処理は頭の痛い問題になっている。 Vine 5.0 では、UTF 環境で英語の man ページを整形するとき、 groff (nroff) はデフォルトでは、'-' (つまり、裸の - ) を ハイフン (UTF-16: 0x2010、UTF-8: 0xE2 0x80 0x90) に変換し (ソースに裸の - を書くのは、お行儀が悪いらしいのですが)、 '\-' (バックスラッシュでエスケープされた - ) をマイナス (UTF-16: 0x2212、UTF-8: 0xE2 0x88 0x92) に変換している。 ・ その結果、ターミナル・エミュレータによっては、マイナス/ハイフン の表示がおかしいことになる。 ・ 見かけがおかしいという以上に問題なのは、「-a」といったマイナスの 入った文字列で man ページの検索ができないことである。キーボード から打ち込むマイナスは 0x2d なので。 ・ man ページでマイナス入りの文字列を検索できるようにするため、 たとえば debian では、man ページのソースに出てくる裸の - や、 エスケープされた \- を UTF 環境でも ASCII-compatible HYPHEN-MINUS (UTF-8: 0x2D) にしている。 Vine 5.0 でも、日本語 man ページについてはそうなっているようです。 対処法としては、わたしが前のメールに書いた方法でも、一応用が足りると 思います。Google で調べたところでは、次のようなやり方もあるそうです。 /usr/share/groff/1.18.1/tmac/troffrc に以下を追加します。 .if '\*[.T]'utf8' \{\ . char - \N'45' . char \- \N'45' . char ' \N'39' .\} わたしとしては、「. char \' \N'39'」もカッコの中に入れておいた方が よいのではないかと思います。なお、上の指定は /usr/share/groff/ site-tmac の man.local と mdoc.local に記述してもよさそうです。 完璧な解決法ではないらしいですけれど。 -- 長南洋一