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[vine-users:079006] Re: SCIMで 日本語入力ができなくなり ました

  • From: Seiichirou Babasaki <mindgear@xxxxxxxxxxxx>
  • Subject: [vine-users:079006] Re: SCIMで 日本語入力ができなくなり ました
  • Date: Mon, 15 Dec 2008 23:54:35 +0900
馬場崎です、どもども。

個人個人の発言の間(あいだ)、やりとりを繰り替えして進む部分もあると、こっちが勝手に思って
やっておりますので、適当に流して下さいませ。

<<前略>>
> > 等のように、プログラムやツール、アプリケーション等の名前を前において話をす
> > るのが不文律となっているように思います。
> 
> 国語と文学の違いの講釈を聴講してるような(^^;)・・・。
すんません、教師の血が騒いでしまったもので。
やりとりを読んでいて口出ししたくなった事が、モジュールとかパーツという言葉を、
ご自身の概念の理解と対応させて確認なさろうとされているように思えたのですよ。
「そりゃ大変な事だ」と思いまして。

以下、引用しつつ並べますと……

> firefoxはブラウザー本体でプラグイン&エクステンションがパーツ?
> ですか?

firefox 本体は複数のプログラムから形成されたプログラムです。これらの全体を
「firefoxのプログラム、またはバイナリ」と呼びます。この構造自体は最近では
珍しくありません。そして、「部品(パーツ)」という言葉からすれば、この構成要素の
一つ一つが部品となります。でも普段、firefox の構成要素をパーツとは言いません。
そして言わないけれど、間違いではありません。

firefox の「プラグイン」は、それ自体がプログラムとして存在するもの(例:Acrobat)を、
firefox から使う場合に用いられる名前のようです。そして製作元はそれぞれ別の組織で、
firefox を開発管理している Mozilla ファウンデーション とは関係がありません。
エクステンション(拡張機能) は firefox に機能を付加し、そして firefox 無しでは動作しない
もの全てを指します。個人や少数グループで作成されるケースが大半ですが、メーカーが
提供する時もあります。
それから外観に関わる テーマ、この三種類を総称して アドオン(add-on)と呼びます。誰が
呼んでいるのでしょう? それは Mozilla です。Mozilla ファウンデーションが「これらは
 アドオン、、そしてプラグイン、エクステンション、テーマ です」と言っているので、
我々利用者がそれに倣っているという形になります。
ではプラグインやエクステンションはパーツでしょうか?多分パーツではあるでしょう。
丁度ホームセンターやカーショップで売っている、「無くてもいいけれど、交換したり追加する
と楽しくなるパーツ」に当たると思います。

パーツという言葉を使いつつ、話の中で注意するとしたら、firefoxを構成する「内部パーツ」と
無くても動作する「外部パーツ」の区別をすることでしょうか。

ただそうしなくても、エクステンションやプラグインという言葉で firefox の話をすると、
「Mozilla の管理しない外部の事だな」という事はお互い分かっているという前提になっていると
いう感じです。それで逆に、例えば Mozilla ファウンデーション がプラグインを用意すると今度は
「本体付属プラグイン」とか「標準プラグイン」といった表現が出てくる不思議な事になります。
ことさら「firefox本体の一部」を強調する必要が生まれるのです。

※プラグイン = 外のもの、のイメージ。だから firefox の一部である事をあらわす形容詞が必要に
                       なってしまう、みたいな。 


> 普通のプログラムが目的どおりの動作をする
> ための付属プログラム(パーツ)。Anhtyは
> Emacs(sylpheed,vi,gedit,)の日本語変換
> 用のプログラムとは言っても、モジュールと
> は言わない・・・ってことですか。

モジュールの位置づけは実際、やっかいです。極端な例をいくつか。
1) カーネルモジュールは基本的に Kernel を構成する「部分」、それぞれ単独では動かない。
    そして基本的に カーネルに含まれている。(kernel souece に含まれている)
    モジュールは切り分けられた「機能」を担当し、コアに読み込まれる事で kernel の機能を
    増減させる。
    だがしかし、 kernel source に含まれない、外部持ち込みの モジュールも存在する!

2) ○○○プログラムから△△△という別のプログラムを利用するために 「linkモジュール」が
    存在する。このモジュールは △△△プログラムとは関係ない所で開発されている。
    しかしこの度、利用元の○○○プログラムに link機能が組み込まれて△△△プログラムを
    モジュールとして扱えるようになった!

3) X Window System ではドライバ類をモジュールという呼び方をします。
   (modulesというディレクトリがあります)
   丁度 kernel と同じく、動的に読み込まれて X の機能を増減させます。
   また、Perl や Rython でもモジュールという呼び方をします。

……こういう感じでして、だいたいは本体の機能に必要な、本体の一部として働く部品のようなものを
モジュールと呼ぶのですが、例外的なものがいくつもあって、「言い切れない」という厄介さがあり
ます。

   そして最後に、 SCIM と日本語変換プログラムを繋ぐものは「SCIMのモジュール」と言います。
   「Anthy」 は日本誤変換もとい日本語変換のプログラムで、これを X の GUI な環境で利用する
   プログラムが 「SCIM」 と SCIM に Anthy との接続を提供する 「scim-bridge-gtkモジュール」と
   いう関係です。(以前は scim-anthyモジュール が担当していました)
   scim-bridge-gtkモジュール は 「SCIM の側のモジュール」という位置づけになり、利用
   される Anthy には何の機能も提供しないし、Anthy の一部としては働かないので、anthyの
   モジュールという表現はされません。
   もしも、(方針上そんなことは無いと思いますが)SCIM が直接 Anthy を利用できるようになったら、
   SCIM 側からは Anthy は 「anthyモジュール」という位置づけになるかもしれません。しかしその
   場合でも利用される Anthy側からは scim をモジュールという位置づけにはしないでしょう。


Emacs と Anthy 事をちらと書かれていますが、Anthy は Anthyという一つのプログラムです。
その意味では Emacs と同列のものです。ただ、単体では機能している様子が見えにくく、
あたかも「接続相手に機能を追加するモジュールのような印象」があるのだと思います。でも
日本語入力は、その機能を「提供」する独立した特殊なプログラムであり、何かの付属物や
機能部品とはやはり別物です。

見えにくいプログラムの他の例では フォントサーバ があるでしょうか。こちらは X からはモジュール
として扱われています。

> はあ。やはり、私には、かなり難しい概念の
> ようです。場面毎のつかわれ方に多く接して
> 一つ一つ理解する必要が有るんですね。

まぁ、言葉の使われ方については「なんとなく」、で大丈夫だと思います。
または「ここではそんな風に使うのか、へぇ」で済ますというのも手かと。
僕の書いていることも、全てでも絶対でもなく、留意部分をことさらに強調しているだけですので。
重要だとすれば「このケースでは」という部分は留意しておかなきゃいけないかな、でしょうか。

ご自身の内部的には、どのように理解されても問題の無い話です。
(僕自身の話で言えば、いつも図的に理解しているので、文章に直すのに苦労しております)

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