シノバーです On Sun, 22 Feb 2004 10:07:22 +0900 navkaz <navkaz@xxxxxxxxxxxxx> wrote: > フォントの著作権、工業意匠権をもっているのはリコーで、MSが持っているのは、 > Windowsに付属させるための複製権及び頒布権ですよね。 実際にはそのような「著作権、工業意匠権」は存在しないだろうと思われます。 たとえば http://ascii24.com/news/i/topi/article/1997/12/09/600809-000.html フォントに著作権が認められたかのような記事がありますが、 よく読めば判決が出たという話ではないようです。 (この事件がその後どうなって、どういう判決が出たのか、 ご存じの方はお教えいただきたい。) 同記事内にもあるように フォントについては'83年に東京高裁で「独占的排他的な権利である著作権を認めることは、 万人共有の文化的財産である文字等について、(中略) 他人の使用を排除してしまうことになり、容認しえない」という判断が下されていた。 のが事実で、その後これを覆すような判断がされたということを私は知りません。 また、フォントに「工業意匠権」が認められるのも稀なケースであり、 また「工業意匠権」は登録制なので、もし本当にそれがあるのならば その登録番号を示せるはずです。逆に示していないならばたぶん無い。 話題をフォントから移し、ソフトウェア一般について… 「本(ソフトウェア)製品は、著作権法ならびにその他の無体財産権に関する法律 および条約によって保護されています。」 というような文言はよく見掛けますし、現行の著作権法には「プログラムの著作物」 の項目が加えられているので、ソフトウェアには著作権があることが 自明であるかのように思いがちですが、実際はどうだか分かりません。 現行の著作権法が「プログラムの著作物」を挙げているのは 著作物がプログラムの形態で表現されている「可能性」を認めているのであって、 プロクラム=著作物であると規定しているわけではないのです。 著作権の保護というものは著作者の「個性」に敬意を払うものであって、 他の人が作ったとしても同じ様なものができるだろうというようなものは 「著作物」として認められるべきものではないと私は思います。 著作権が死後50年という(産業所有権などと比べるととてつもなく)長期の占有を 認められているのは、「著作物」は著作者の「個性」の発露であって、 「他の人は別の個性で別のものを創ればいいじゃないか」 という思想にもとづいているからです。 ソフトウェア作成者が自らの製品に著作権なるものを主張するのは勝手ですが、 実際にそれが認められるかどうかは裁判をやってみないと分からない というのが本当のところです。 たとえば職業別電話帳がデーターベースの著作物であると認められた例がありますが、 ではアイウエオ順の電話帳は著作物なのかどうかというと、 「判例が無いので分からない」というのが正解です。 -- Masaki Shinomiya <shino@xxxxxx> http://shino.pos.to/linux/