ワタナベです。長文で失礼します。 シノバーさんのサイトにはよく御世話になっております。_(. .)_ が「フォントに著作権はあるか?」のページは目を通していませんでした。 そちらや他の意見や著作権法などもざっと目を通した上で私見を述べます。 まず日本では著作権は無方式主義ですから、そもそもフォントに著作権があるとの前提であれば、どこぞに何と書いてあるから権利があるとか無いとかは二の次 になると思います。 なのでまずフォントに著作権があるのかどうかが第一の争点と思われます。 ここで皆さんもそれぞれ意見がおありでしょうが、それはそれとして、 判例として、 > たとえば > http://ascii24.com/news/i/topi/article/1997/12/09/600809-000.html > フォントに著作権が認められたかのような記事がありますが、 > よく読めば判決が出たという話ではないようです。 と紹介していただいてますが、私の読解力では > フォントについては'83年に東京高裁で「独占的排他的な権利である著作権を認めることは、 > 万人共有の文化的財産である文字等について、(中略) > 他人の使用を排除してしまうことになり、容認しえない」という判断が下されていた。 という83年の判決が、今回覆って著作権が認められたと読み取れます。 その理由は、つづく文章の後にて、 「しかしACCSでは、デジタルフォントは著作権法の「プログラムの著作物」であって、書体デザインや文字の設計図そのものではないことを意見書として告 訴状とともに提出していた。」 ところ今回の判決となったものである。というのが抜けていると推察されるのと、デザインや意匠権を主張したのではなく「書体を画面などに描画するためのプ ログラム」と主張したことにより、"プログラムは著作物である"と1986年に改正された著作権法の保護が認められたと考えられるからです。 ところがこの裁判の判決文そのものが入手できなかったので、2次資料からになりますが、判決は出たけれども、プログラムとしてフォントの著作権が認められ たのではないようで、先の記事は巧妙なレトリックでした。 判決としては、前例などから著作物と認定するのは困難であるけれども、経済的価値を有すると認め、不正競争防止法の対象となる「商品」であると認定するこ とで、一審を破棄し販売停止と損害賠償を求めました。その際、83年の「万人共有の財産である文字(字体)に著作権を認めるわけにはいかない」という判断 から一歩進めて、字体と書体を区別し、「抽象的な観念である字体を基礎にし、これを製作者が自ら創作したデザイン上の一定のルールに従い様式化した文字群 であって、字体とは異なる概念であると解するのが相当である」、つまり字体は著作物や商品として認められないが、書体は商品として保護される対象であると 認定されたということです。 そして現在、フォントベンダーがパッケージに付帯している使用許諾書に書かれていることは妥当かどうかは、著作権うんぬんとは別の判断によるものと思いま すが、少なくとも商品として保護されるものとしてフォントに付帯する権利が整理されるのではと考えられます。(勝手に複製して売ったり、不特定多数に配っ たりしてはいけないなど) > > フォントの著作権、工業意匠権をもっているのはリコーで、MSが持っているのは、 > > Windowsに付属させるための複製権及び頒布権ですよね。 > > 実際にはそのような「著作権、工業意匠権」は存在しないだろうと思われます。 この件で自分なりに調べた結果、先に書いたのは私の思い込みで、様々な専門的な立場の人からみても、現在はおっしゃるように存在しないということは判りま した。 でも、ここからは私見ですが、存在しないのは未来永劫ではなくて、現在は定義されていないだけで、将来は存在しうると思ってますし、フォント(書体)は著 作権なり意匠権を持っていると認めることで尊重すべきものと思います。 その上で対価や条件を求められるならば、自分の必要性と照らし合わせて使用するか判断します。 MSフォントを使う件については、リコーのものをバンドルするにあたって二次(三次?)著作物相当なものなのか、現時点で判断できないので留保します。 なおこの件の参考資料として、シノバーさんも紹介されているのも含めて次のサイトが面白かったです。 公有フォントの利用と制作のための参考情報 http://www.asahi-net.or.jp/~sd5a-ucd/freefonts/references.html ★ フォント千夜一夜物語(16)〜(21) ★ http://www.jagat.or.jp/story_memo_view.asp?storyID=1476 -- Digital Imaging, Contents, Solution & Engineering Kazuhiko Watanabe :: navkaz@xxxxxxxxxxx GNOME-2.5 on Vine-2.6 http://www.deltahf.com/gnome2/