シノバーです On Mon, 23 Feb 2004 17:06:05 +0900 "k.Z.w" <navkaz@xxxxxxxxxxxxx> wrote: > > 。また意匠の保護期間は15年なので(実際は意匠登録していないが、もし登 > > 録されていたとすれば)すでに期限は過ぎている。 > > > > 当事者たちはみなこれが著作権でも意匠権でもないことを認識していて、 > > それを明記することができなかったのでしょう。 > > わたしもそう思います。 > そして、だからといって、それを指摘して使用権を主張することもないと思い > ます。 法のすき間を突いてズルイことをしてはいけません。しかし、ここでも 著作権寄りの考え方を採るのか 意匠権などの産業財産権寄りの考え方を採るのかによって異なります。 さきの日立のリリースでは「権利」とあるところを「著作権に準じた権利」とでも 本当はしたかったのでしょう。 しかしフォントは現在著作権が認められていないだけでなく、 将来も認められるべきでないと私は考えています。つまり意匠権寄りの考えです。 意匠法では登録から15年経つとそれを誰が真似ても良いことになっています。 法では許されているけれど、年限が来てそれを真似るることはズルイ行為でしょうか? ここで法の本旨に立ち戻らねばなりません。 意匠法第1条は次のようにその目的を述べています。 この法律は、意匠の保護及び利用を図ることにより、意匠の創作を奨励し、 もつて産業の発達に寄与することを目的とする。 意匠法に限らず特許法や実用新案法など産業財産権の諸法は保護に年限を切っています。 これらに比べると著作権の保護期間の死後50年という長さはおよそ無期とも言えます。 「無期」懲役ですら囚人の命が尽きればその刑期は終了しまうのに。 産業財産権の諸法が保護に年限を切っているのは、一定の期間発明者に占有させたあとは みんなでそれを利用し、また改良することが産業の発達に寄与すると考えるからです。 http://www.jpaa.or.jp/special/seido/seido.html 東風フォント開発はまさにそうした産業の発達に寄与すべき活動であり、 その後の結果が示すように日立側の対応はそれに水を差すこととなっています。 実用が主要な性格であるフォントに、認められてもいない著作権並みの権利主張をする 日立側のほうがズルイ、と私はこの問題に関して思います。 東風フォント開発者がこの日立側の権利主張を正当と思ったかどうかは知りません。 正当かどうかよりも、もし日立側が何らかの争いを起こした場合に 個人でそれを受けて立つことはたいへんな困難が予想されます。 この問題は当事者たちの意図はどうあれ、けっきょく大きいものが小さなものを押し殺す 結果になったものと私は見ています。 -- Masaki Shinomiya <shino@xxxxxx> http://shino.pos.to/linux/